オールド大倉物語

No.09 尾長鶏の置物

尾長鶏の置物

流れるような尾羽根の美しい、高さ85cmの実に堂々した尾長鶏の置物があります。原型はもちろんのこと、複雑に絡み合った尾羽根の成型と細工の精巧さ、焼成技術の完璧さに当時の苦労が偲ばれます。

『大倉陶園25年譜紀』には、次のような記述があります。

『昨八年十一月帝国馬匹協会より依嘱されたる「和鞍飾馬置物」には伊藤国男氏の原型にして、其至難に属するもの當圜技術洗練の果を挙ぐ。』

誠に見事な出来栄えにて、当時の力量をおのずから物語り、素材の良さは何かを考えさせられる作品です。

「森村市左衛門様への御祝品」と『75年譜』には記されています。

『大倉陶園25年譜紀』の昭和9年の頁に「この年五月より六月に亙り隅々来朝中の獨乙建築家ブルーノ・タウト教授に工芸的基礎研究を依嘱せるも其の成果を見ずして帰国さる。」とあり、「富本憲吉氏」や「イサム野口氏」にも試作を依頼した形跡があります。

また、有名画家の絵皿の会等、たびたび展示会を催しており、社内のアーティストを育てながらも外部との交流を大切にしていたようです。

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